古墳の面白さ・素晴らしさを全世界に発信したい
子ども時代の私は、親がいわゆる転勤族だったので、「地元」と呼べる場所がありませんでした。ですが大人になり、結婚して大阪府高槻市に移り住むことになり、はじめて「地元」と呼べる場所ができたんです。
その後子どもが生まれ、近所のお気に入りの広場でボール遊びをしたり、お弁当を食べたりするようになりました。その広場が、ある日突然閉鎖され、驚いていると、「5年後に古墳公園になります」という看板が掲げられていました。
その広場こそ、今の「今城塚古墳公園」です。
結局、工事が終わり一般に開放されたのはそれから7年後のことでした。
自分の中では、「いつあそこは開放されるのだろう」と日々、焦らされているような、恋焦がれているような感覚だったので、オープンした時は本当に嬉しかったです。
それなのに・・・・。
ママ友に古墳公園の話をしても、「そんなのあったっけ?」ぐらいの感覚で、誰も古墳公園に興味を持っていなかったんです。私はこんなに焦がれていたのに・・・。
「身近に古墳がある生活」はめちゃくちゃ特別なことなのに、誰もその魅力に気づいていないどころか、意識すらしていない。
当たり前すぎて、興味を持たれていないことにカルチャーショックを受けました。
何千年も昔につくられた古墳が、当時の姿に整備されて、さらに立ち入ることもできる。高槻市には、そんな恵まれた環境があるのにも関わらず、市民の無関心さに残念な気持ちになり、「この素晴らしい古墳を、みんなに知ってほしい」という思いに駆られるようになりました。
古墳の魅力を知ってもらいたいという想いの一方で、クリエイター仲間からの「最近のイベントってどこも変わり映えしないね。同じ人間が色んなイベントに出店して、売っているものも同じものだけ」という話も聞いていましたし、私自身も実感していました。
そこで、「古墳でクリエイターとして何か楽しいことができないか」と考えるようになり、高槻市役所の担当課などに企画書を持参し、「今城塚古墳でフェスをやりたいです!!!!」とお願いに回りました。
古墳とアートを融合させた全く新しいカタチのイベント。
イベントとしての付加価値を持たせることはもちろんですが、古墳という新たなモチーフを提案することによって、クリエイターのワクワク感を刺激する起爆剤になると考えました。
初回開催時には48ブースでしたが、今は130近いブースと3万5千人近い来場者様に来ていただけるイベントになりました。
それと同時に、イベントを始めた当初から「古墳の魅力を発信したい!」と思っていたので、積極的に外部出店などを通し、古墳の魅力を発信しています。
そうした活動を通し、個人所有の古墳や、行政所有でも予算のない市町村などは、古墳の管理や維持に大変苦労されている実態を知りました。こうした実態は、私たち日本人が「古墳に関心を寄せていない、古墳への評価が低い」ことに一因があると考えています。
そこで私たちができることは、アートを通して古墳についての認知を広めることだと思っています。例えば、古墳には美しい壁画のある装飾古墳があるのですが、その図柄を生地に再現し、その布を使ってファッションショーをする取り組みを行っています。
いろんなクリエイターさんや団体とのコラボなどを通し、今後は古墳を世界に発信していきたいと思っています。エジプトでいうピラミッドぐらいの位置づけになり、「古墳=Kofun」が世界共通語になれば最高ですね!